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「良いデザイン」の力は時代を超えるのか?-フォトプロジェクト「#NTS_People」を通して-

-良いデザインの力-

「良いデザイン」が持つ力ってなんだろう、と思うことがあります。



自分が私生活で手に取る物とか、世の中に残り続けている物には何かしら「良い」とか「美しい」とか思わせる得体の知れない要素が秘められていて、それが人や社会や文化など様々な物事に影響を与えていることは違いないということだけは日々感じています。



その「良い」と多くの人に思わせた物の例として取り上げたい物が、今回復刻したNTSのNo.3です。



今回はスタッフで企画した、NTSのNo.3の「#NTS_People」フォトプロジェクトを元に、「”良い”デザイン」の力について考察してみました。

-NTSのNo.3とは-

「NTS」は1932年創業の眼鏡工場(当時の名称は竹内産業、現・サンオプチカル)が1960年代に立ち上げたオリジナルブランド。中でも「No.3」は工場の全盛期に月に三万本を生産したという人気モデルで、1960年代から80年代半ばまでロングセラーとなったモデルです。



それ以前は眼鏡と言えば、メタルやセルロイドでも丸いラウンド型が主流だったが、ドイツでNo.3のようなウエリントン型のデザインがあり、それを模して作られたのがNTSのNo.3の始まりです。

当時の人々は無意識に選んでいたかも知れないが、老若男女関わらず多くの人々に選ばれたNo.3には、長い間愛され続けた理由があるはず、と考えました。



そう考えるとNo.3が多くの人に選ばれたのは、ただ単に「日本に今まで無いデザイン」だったからでは?という風に思ったのですが、どうやらそれは違ったみたいです。

-フォトプロジェクト「#NTS_People」を通して-

今回、NTSのNo.3の再発売が決まり、さらにNo.3について追求してみようと思い、「#NTS_People」と題したフォトプロジェクトを始めることになりました。



プロジェクトは、当時の昭和においてNo.3のようなウエリントン型の眼鏡が真新しかっただけで選ばれたのではなく、何を理由に多くの人々が選んでいたのかということと、その理由は時代を超えても変わらずに”良い”と思えるのではないか、ということを実験する目的で始まりました。



老若男女から職業、人種さえも限らず様々な人々を撮らせていただきまして、写真を並べてみた時にいくつか感じる事がありました。

一つ目は「古臭く見えない」という事。



「昭和のベストセラー」と言われると、令和に変わった今にはそぐわないデザインなのではないかという先入観を持っていましたが、いざ写真を撮り進めていくと、今の時代でもいわゆる「時代遅れなデザイン」という風には一切見えませんでした。



写真を撮ったどの方の服のスタイルや雰囲気などにも、違和感無く溶け込み、言われなければ昭和の時代に流行った物だとは気づけないと思います。

二つ目は「誰もが似合うようにかけられる」という事。



正直な話、フォトプロジェクトを始める前はたくさん撮らせてもらう中で、「これはあんまり似合ってないな、、」という人が出てきてしまうのではないか、と思っておりました。



ましてや今回のフォトプロジェクトは老若男女、職業、人種も問わずかけてもらおうとしましたし、さらに使う眼鏡がNTSのNo.3の大きめの50サイズ一択だったので、どれかしらお蔵入りになってしまうのでは、、という心配をしていました。

ところが不思議な事ですが、撮った写真を並べてみると「似合わない人がいない」ということに気づきました。自分だけが思ったのかと周りにも聞いてみたのですが、周りのスタッフや知人に意見を聞いても同意見でした。



元々はドイツのセルフレームのデザインを模して作られたデザインだったにも関わらず、偶然なのか、多くの人から選ばれるデザインになり、現代にもこのような形で引き継がれているデザインとなっています。



NTSのNo.3は人が感性として潜在的に持っている「良く見えるバランス」や「その人や物の良さを冒さない」という特徴を持ち、多くの人の美的感性を揺らしたため、多くの人に選ばれた眼鏡になったのではないかということを、今回のフォトプロジェクトを通して強く感じました。

-「良いデザイン」の力は時代を超える-

これまで「良いデザイン」の力について考えてきて、良いデザインは「古臭く見えない」「かけたその人に違和感なく馴染む」など身につけた人に対する気づきを述べてきましたが、もう一つ重要なことを気づかせてくれました。



それは「後世に繋ぐ」意味を与えてくれるということです。



良いデザインの目に見えない力は不思議に感じるので、いつの間にか「良いデザインとは」という事の魅力に惹かれてを考えさせてくれて、そして後の時代にも伝えていく意味を教えてくれます。



NTSのNo.3の「良さ」は「ただの眼鏡」ではないことです。



Text: Junichi Tashiro

Photo:Tatsuya Sakaguchi

NTS | エヌ ティー エス
PRODUCT NAME : No.3(サイズ50)
COLOR : クロ
PRICE: 31,320yen (w/tax)

NTS | エヌ ティー エス
PRODUCT NAME : No.3(サイズ50)
COLOR : クロⅡ
PRICE: 31,320yen (w/tax)

NTS | エヌ ティー エス
PRODUCT NAME : No.3(サイズ50)
COLOR : ビール
PRICE: 31,320yen (w/tax)

NTS | エヌ ティー エス
PRODUCT NAME : No.3(サイズ50)
COLOR : ビールⅡ
PRICE: 31,320yen (w/tax)

NTS | エヌ ティー エス
PRODUCT NAME : No.3(サイズ50)
COLOR : ハバナ
PRICE: 31,320yen (w/tax)

NTS | エヌ ティー エス
品番   No.3
材質   セルロイド
価格   31,320円(税込み)
色展開  全5色(ビールⅡ、クロⅡ、ビール、クロ、ハバナ)
取り扱い店舗 ブリンク外苑前、ブリンク ベース



【関連記事】

他にも前にNTSのNo.3に関して記事を書いております。

下記のリンクから是非ご覧くださいませ。

http://blinc.co.jp/blincvase/archives/brand/nts

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