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語り尽くせない LOWERCASE | ローワーケース の魅力を語ります!

世の中の数ある眼鏡やサングラスの中で、LOWERCASE | ローワーケースがいかに素晴らしいブランドなのか?

今回は、その魅力についてお話させていただきます。

まず、LOWERCASE | ローワーケースは、ニューヨークのブルックリンで生産されています。

一般的に眼鏡のブランドというと眼鏡の製造までは出来ない為、外部の工場に発注するのが通常です。

しかし、LOWERCASE | ローワーケースは、デザインから企画、製造まで全て自社で行なっています。ブランドというより、むしろ工場です。

現在、眼鏡の主な生産国は、フランス、イタリア、日本、中国などが挙げられます。

かつては、アメリカにも眼鏡工場が多くありました。しかし、何十年も前に眼鏡の製造が産業として衰退した為に多くが廃業したのです。

特にアセテート素材(プラスチック素材)の眼鏡づくりに関しては、最近までほぼ皆無でした。

LOWERCASE | ローワーケースのの拠点、BROOKLYN ARMY TERMINAL

LOWERCASE | ローワーケースの工場は、BROOKLYN ARMY TERMINALという、1919年に建てられた、アメリカの軍基地の巨大施設に跡地にあります。

港に近いので船の利便性も良く、敷地内には人や物資を運ぶ列車がかつては走っていました。第二世界対戦中は、ここがハブとなって機能していたのです。

(BROOKLYN ARMY TERMINALの跡地)

建物内の廊下では軍人の移動にジープが走っていたほど床が頑丈で、大きくて重たい機械設備を設置しても床が抜ける心配がいらないので工場の立地として最適です。

今では、このBROOKLYN ARMY TERMINALの建物内には、LOWERCASE | ローワーケースの他に、バイオテクノロジーや家具メーカー、高級チョコレートなどの約100社の企業が入っています。

2016年、LOWERCASE | ローワーケースは、ジェラルド・マシー、ブライアン・バラリオ、ライアン・ランガーの30代の若い3人が、ブルックリンで立ち上げました。

(左から、ライアン・ランガー、ジェラルド・マシー、ブライアン・バラリオ)

アメリカの若者が、設備投資になんと2億円!?

もはや眼鏡づくりの土壌がないアメリカで、眼鏡工場を立ち上げるのかはいかに大変かというと、

なんと設備投資に2億円をつぎ込んだのです!?

¥200,000,000です!!!

社長のジェラルド・マシーは、もともと超有名なアメリカの某証券会社にアナリストとして働いていました。

毎日、身を粉にして働き、身体を壊すほど働いたそうです。

たしかに証券会社は収入面では良かったのですが、ジェラルドは身体を壊したのを機に、自分の人生にとって何が大切かを考えるようになり、どうせ働くなら好きなことをやろうと第二の人生を踏み出したそうです。

ジェラルドは、証券会社時代に貯めたお金を、工場の立ち上げのためにつぎ込んだのです。

実際に製造している様子は、You Tubeに動画でアップされいますので、以下のURLのリンクからお入りください。

https://youtu.be/STtPpvnz0HQ

とはいえ、仮に2億円の貯金があったとしたも、全く携わったことのない眼鏡づくりに2億円をつぎ込む勇気はすごいです!

そうさせるのは、もはや情熱以外の何ものでもないです!

今となっては眼鏡づくりの職人のいないアメリカで、ゼロから眼鏡づくりを始めるにあたって、ジェラルドは眼鏡を作る人を探したのです。

そこで友人から紹介され、眼鏡づくりに興味を持ったのが、建築家のブライアン・バラリオだったのです。

もちろんブライアンは、それまで眼鏡なんて作ったことがある訳はありません。

建築も眼鏡も同じ、頭に描いたものを図面に落とし込み、製造工程に分けて作業する。

ブライアンに始める時に不安はなかったのか聞くと、建築も眼鏡も構造物なので、大きいか小さいかの違いだけで、建物を作るか眼鏡を作るかは、あまり大差はないというのです。

最終的な形まで想像出来れば、精密な図面にすることができ、それを形作る製造工程の手順を踏んでいけば良いそうです。

ブライアンは、LOWERCASE | ローワーケースは、眼鏡のデザインと実際の製造、工場の設備など担当しています。

その後、製造に3人めのメンバー、ライアン・ランガーが加わりました。

それにしても、誰からも教わったことのない眼鏡づくりを、どうやって習得したかの疑問が残ります。

眼鏡づくりで使用する諸々の機械の操作方法など、誰から教わるのかと尋ねてみました。

眼鏡の工場の機械は、ほとんどがイタリアから購入したのですが、その時に現地に行き操作方法を教わったりし、いろいろ質問をして独学で学んだそうです。

センスがあれば、YouTube を見てモノづくりができる。

それ以外にも、YouTubeで眼鏡作りの動画が世界中からアップされているので、それを見て研究したそうです。

YouTube を見て学ぶというと冗談のように聞こえてしまうかもしれないですが、アメリカでのものづくりは実際にYouTubeから学ぶことも多いそうです。

最近では学ぶというとOJTを想像し、上司や先輩が、段取りを組んで手取り足取り教えてくれますが、職人の世界では昔から「見て盗め!」とよく言いますよね。

そう考えると、YouTubeから見て盗んで学んでいるので、昔の職人の世界と同じかもしれませんね。

ものづくりで大事なのは、センスと努力。

センスがあれば、盗んで見ただけで、実際にカタチになっちゃうものなのです。

その先のクオリティは、努力ですよね。逆にセンスのない人は、見て盗めない。

自分たちが生活で使うものは、せめて自分たちで作りたい。

しかし、ナゼそこまでして、海外の眼鏡工場に頼まないで、自分たちで眼鏡を作ろうと
したのかを、ぜひ皆さんに一番聞いていただきたいところです。

アメリカは皆さんもご存じのように、コンピュータやITなどの産業が伸び始めた頃に、アメリカで消費財を生産する製造業が代わりに衰えて行きました。

そしてアメリカの消費財は、製造コストが安い海外製のものが多くなって行きました。

90年代末頃にニューヨークに実際に住んでみましたが、生活をしていてアメリカ製の日用品を見ることはまずありませんでした。

アメリカの人々からすると、気が付いてみるといつの間にか、外国で生産されたものに囲まれて生活をしていたという状況になってしまったのだと思います。

そこで若い人たちの間から、だんだんと自国でのもの作りに注目が集まりました。自分たちが生活で使うものは、せめて自分たちで作ろうよという風潮が広まったのです。

大昔は、村には作り手がいて、それを使う人がいました。使う人と作り手が直接売買することで社会が成り立っていました。

商品を買うときに、作り手の顔を思い浮かべることの出来ると安心感がありますよね。

LOWERCASE | ローワーケースは、眼鏡を作っている人たちを思い浮かべることが出来るのです。

彼らの目指していることにとても共感が持てます。

失われたアメリカでの眼鏡づくりを復興させ、持続可能なものへと後世に繋いで行く

それは、今では衰退してしまったアメリカでの眼鏡づくりを、自分たちが始めることにより、若い人たちに眼鏡づくりに興味を持ってもらい、作り手を増やして再び盛り上げることを目標として掲げています。

それは、次世代に眼鏡づくりを引き継いで、持続可能なものにして行きます。

店頭で、LOWERCASE | ローワーケースの眼鏡やサングラスをご覧頂くと、そのデザインの美しさに目を惹かれます。

しかし、さらにその背景には、彼らの高い志と熱い想いがあるのです。

LOWERCASE | ローワーケースの魅力は、まだまだ語り尽くせないので、また近いうちにお話させていただきます。

text Toshiyuki Araoka

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