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パリで見て一目惚れ、ちょっぴり太めのフィットチーネのような眼鏡。

学生の頃に初めてセルジュ・ゲンズブールを聴いた時は、想像していたものと違い、理解するのが難しく結局のところ良く分かりませんでした。しかし、良く分からないという”未知な領域”にひたすら憧れていました。(良く分かっていないのに聴いていたというのは、今思うと恥ずかしい過去です。)フランス語の聴き慣れない音の響きが、なにしろ衝撃的でした。”可愛い”と言ってしまったら失礼かもしれませんが、“大人の可愛らしさ”のようなものを強く感じました。当時は、可愛さがなくなって初めて大人になると思い込んでいたので、良い意味ですごく違和感がありました。

余談ですが、セルジュ・ゲンズブールとジェーン・バーキンの有名な曲、「ジュ テーム モワ ノン プリュ」なんて歌詞の意味なんて考えたこともなく聞いていたのですから、恐ろしいものです。それから何年も経って、フランスの友人に歌詞の意味を丁寧に教えてもらってビックリでした。まさかあんな男女のやりとりの過激な内容だとは思っていませんでした。発売当初は、放送禁止になったらしいです。ますます、フランスって奥深いと思いました。

ところで、今回ご紹介するのはフランスのブランド、エマニュエル カーンの眼鏡です。
そもそも、この眼鏡はカッコ良いかと聞かれたら、素晴らしいデザインだとは思いますが、カッコは良くはないです。でも何故か惹かれてしまいます。

素材はアセテート(プラスチック)で、最近の流行のメタルフレームの細さに比べると、細さはなくトレンドからかけ離れています。クラッシックで太めな重厚感のある眼鏡と比べても、控えめです。フランスの眼鏡をイタリアのパスタで表現するのは、上手い例えではないですが、トレンドのカッペリーニのように細くなく、ラザニアほどの太さと存在感もないです。標準のスパゲティよりも、ちょっとだけインパクトあるフィットチーネといった感じです。うどんに例えると、香川の讃岐うどんというより、やや細めの秋田の稲庭うどんに近いです。
ちょっとインパクトがあることにより、シュッとしたスタイリッシュさはないのです。しかし、“大人の可愛らしさ”があります。これが、僕が勝手に抱いているフランスらしさだと思うのです。

エマニュエル カーンは、60年代にキャシャレルやミッソーニのプレタポルテを手掛け、70年代は自身のブランド、エマニュエル カーンとして、メンズとレディースのアパレル以外にも、サングラスや日用品までデザインしました。今ではエマニュエル カーン自身が引退しているので、最近のコレクションは、当時のデザインを復刻したものと、エマニュエル カーンの作っていたイメージを踏襲して新たにデザインをおこしたもので構成されています。

EMMANUELLE KHANH | エマニュエル カーン
PRODUCT NAME : EK1956
COLOR:16
PRICE:36,720yen (w/tax)

現在のコレクションは、2シーズン目の若い女性のデザイナーが手掛けています。彼女は、もともとデザイン系の学校に通っていた時に、インターンとしてエマニュエル カーンで働いていました。その後、卒業してプロのデザイナーとなり、またエマニュエル カーンで働くことになった訳です。
彼女になって、コレクションの感じも変わったように思います。まだ粗削りなデザインも中にはありますが、力強さを感じます。
とりわけ、このモデルに関してはダントツでズバ抜けて素晴らしいです。この若いデザイナーのポテンシャルが垣間見えたような渾身の逸品です。この眼鏡を最初に見て、まず自分が欲しいと思いました。

EMMANUELLE KHANH | エマニュエル カーン
PRODUCT NAME : EK1956
COLOR:18
PRICE:36,720yen (w/tax)

大きいめのしっかりと掛けごたえのあるサイズ感ですが、フーレムのアウトラインに適度に丸みがあるので、掛けると優しく上品な印象にしてくれます。ポテっと野暮ったくなるはずの線の太さですが、なんとも形容のしがたいしなやかな美しいデザインに仕上がっています。まさに“大人の可愛らしさ”があります。

EMMANUELLE KHANH | エマニュエル カーン
PRODUCT NAME : EK1956
COLOR:575
PRICE:36,720yen (w/tax)

カラーは、ブラック、べっ甲色、ブルーの3色です。
自分では絶対に似合わないと思っている大人の方にこそ、ぜひお試しいただきたいです。
線の細いカッペリーニ、やたらに太いラザニア、標準の太さのスパゲティも良いですが、たまにはちょっぴり太く個性的なフィットチーネはいかがでしょうか?
お気軽にご来店お待ちしております。

illustration: Mai Nagao
Photo & Text: Toshiyuki Araoka

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POSTED BY blinc AT 6:00 PM

TAGS: エマニュエル カーン