伝統的なロールドゴールド製法を意地でも貫き通したサヴィル ロウ
サヴィル ロウの醍醐味といえば、今では非常に珍しい伝統的な製法で作る素材、Rolled Gold(ロールドゴールド)です。
かつて19世紀のイギリスのヴィクトリア朝の時代に、純金に代わる錬金術の一つとしてこの製法が普及しました。
その後、戦前には時計やネックレス、ペンの先など様々な用途で用いられました。
今回の再開に向けて、サヴィル ロウが一番こだわったことは、伝統的な製法による素材、Rolled Gold(ロールドゴールド)を継続することでした。
コロナが発端となり、今までのロンドンの東にある拠点であった工場、アルガワークスが閉鎖され、取り壊しになるという窮地に立たされました。
そして、Rolled Gold(ロールドゴールド)の生産をする為の拠点を探す旅が、始まったのでした。
最終的にたどり着いたのが、イタリアの古い工場跡地でした。そこでは、かつてはロールドゴールドに近い製法であるゴールドフィールドというイタリアの伝統的な製法が行われていた有名な工場でした。(ゴールドフィールドは、だいぶ以前に衰退し今ではヴィンテージの眼鏡でしか見かけることがありません。)
その工場跡地であれば、まだ残っている設備もあることから、既存の設備も移設しつつ、生産拠点を新工場 KUDOS(キュードス)に移し、伝統的な製法ロールドゴールドを絶やすことなく、存続が可能になりました。
新しくなったサヴィル ロウでは、金の量が増えており材料が安定しております。
最初の図であるように一番外側の24金のゴールドが、0.5ミクロンところだったのが、2ミクロンになりました。これは、以前よりも4倍近くも厚くなっています。また、真ん中のゴールドも、以前は、8~10ミクロンの14金でしたが、不純物を減らし5~6ミリオンの18金を用いています。
改めてロールドゴールド製法について、簡単に説明させていただきます。
ロールドゴールドは、金張とも金の厚メッキとも異なり、金を「溶着」させるという技法です。金を溶かして巻きつけることにより、芯のメタルとの間に「真空状態」を生み出す「膜」を作ります。その結果、空気に触れず経年劣化を防げるのです。
これが、錬金術の一つとして19世紀に本物の金ではないが安価に金に見える素材として考えられたというのですから、当時は世紀の大発明だったに違いありません。
この金の溶着は、子供の頃に遊んだ公園の「鉄棒」のような太さの丸棒から金を溶かしながら巻きます。仕上がったら、今度は眼鏡フレームの細さになるまで、機械で押し出しながら細くして行きます。
ひと手間もふた手間かけた大変な製法なのです。
だから、古典的なロールドゴールド製法は、現代の眼鏡の素材としてもあり得ない製法です。
ロールドゴールド製法にそこまでこだわり続ける意味は、我々日本人には理解が及ばないかもしれません。
しかし、彼らにとっては、かつてのイギリスで産業革命が起こり、近代国家として最も繁栄し、世界の覇者となった時代に生まれた製法を今でも踏襲する素材なのです。
ぜひ、新しくなったサヴィル ロウを実際にお手にとって見ていただけましたら幸いです。
SAVILE ROW|サヴィル ロウ
PRODUCT NAME: PANTO
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POSTED BY blinc AT 8:27 PM
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