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丸めがねと言えば、フランスの老舗眼鏡店 E.B. メロヴィッツ

丸めがねといえば、パリの老舗眼鏡店、E.B. メロヴィッツが、数々の傑作を生み出しています。特筆すべきところは、E.B. メロヴィッツは眼鏡ブランドではなく、優れた技術をと知識を持つ高級な眼鏡店というところです。
昔の高級眼鏡店では、オーダーメイドの眼鏡を受けていました。今でもE.B. メロヴィッツは、オーダーをすれば自分だけの一点モノの眼鏡を作ってくれます。今回は、E.B. メロヴィッツから重厚感のある「丸めがね」2モデルをご紹介します。

光学と医療機器の分野で国際的に活躍していたたエミール・ブルーノ・メロヴィッツ氏が、その高い技術や知識を活かして眼鏡店、E.B. メロヴィッツを作ったのが、1875年です。そして、パリのヴァンドーム広場の目と鼻の先に店を構えたのが、1922年です。

ヴァンドーム広場といえば、19世紀の終わりから、ブシュロン、カルティエ、ショーメ、ヴァンクリーフ&アーペルなどの高級ジュエラーが立ち並ぶことで知られています。
ヴァンドーム広場にあるホテルリッツに居住していたココ・シャネルは、この広場の形状から、シャネルNo.5のボトルのインスピレーションを受けたと言われています。

1927年には、飛行家のチャールズ・リンドバーグが、ニューヨーク-パリ間の大西洋単独無着陸飛行に成功しています。その際の非常用のゴーグルを製作したのが、E.B. メロヴィッツでした。

チャールズ・リンドバーグは、朝5時52分(現地時刻)にスピリットオブセントルイス号に乗り、サンドイッチ4つと水筒2本分の水、1700リットルのガソリンを積み、そしてE.B. メロヴィッツ製の非常用のゴーグルを携え、ニューヨークはロングアイランドにあるルーズベルト飛行場を離陸しました。

翌日、22時21分(現地時刻)にパリのル・ブルジェ空港に着陸しました。
飛行距離は5,810kmで、飛行時間はなんと33時間半でした。
操縦士が一人だったので、途中強い睡魔に襲われても、一人で操縦し続けるしかないのです。

パリ上空で、「翼よ、あれがパリの灯だ。」と叫んだそうですが、自叙伝の和訳の際に使われた言葉で、実際には言っていないそうです。
このように偉業を成し遂げてた裏には、E.B. メロヴィッツの高い技術力があったのです。
フランス語で、眼鏡はLunettes(リュネット)と呼ばれますが、その昔は、ツルやフチのないレンズだけの状態でした。ガラスや水晶の塊を丸く円盤状に研磨して、両面出ぱった凸レンズです。いわゆる老眼用です。当時は、大変高価なもので、知性と豊かさの象徴でもあったのです。
もともとレンズを丸く研磨して使っていたので、丸いレンズが丸めがねに発展して行ったのは想像するに容易いです。

丸くレンズを削ると、周辺部に出る収差(歪み)も均等になります。光学的にも合理的な形は、「丸」つまり円状だった訳です。 この丸めがねは、20世紀の半ばまで主流な形として定着しました。

E.B. メロヴィッツというとラウンド型の丸めがねが、とても印象的です。その中でもアイコニックな2モデルをご紹介します。

20世紀の代表するフランスの劇作家、映画監督、芸術家など著名な文化人たちは、ヴァンドーム広場にあるE.B. メロヴィッツに訪れました。E.B. メロヴィッツで眼鏡を購入することが、ある種のステータスだったからです。

E.B. Meyrowitz|E.B. メロヴィッツ
PRODUCT NAME: Sacha
PRICE:102,300yen (w/tax)

劇作家のSacha Guitry(サシャ・ギトリ)も、そのE.B. メロヴィッツの顧客の1人です。

当時は、本物のべっ甲を素材にしてラウンド型の眼鏡を作っていました。
このSachaというモデルは、そのレプリカです。
日本ではあまり馴染みが薄いかもしれませんが、映画好きの間では昔のフランス映画と言えばと始まる映画監督の一人と言えます。

植草甚一がかつてフランス映画特集の雑誌の中で、サシャ・ギトリの映画はフランスでは大人気であったが、日本や欧米で公開されていないのは、ギトリ自身が、映画の説明をユーモアのある話術で話が展開する挿話形式が、パリの人々に受けるが、他の国の人たちにはピンと来なかったのではないかと書いてました。(参考文献「植草甚一WORKS5フランス映画の面白さを語ろう」近代映画社発行)
ギトリの丸めがねをかけている姿を見ていると、劇壇界の大御所に相応しいのは、この丸めがねのカタチしか他にないと断言出来そうです。

E.B. Meyrowitz|E.B. メロヴィッツ
PRODUCT NAME: Marcel
PRICE:102,300yen (w/tax)

Marcel Achard(マルセル・アシャール)は、大きな丸めがねが象徴的なフランスの文化人を代表する劇作家兼脚本家です。

1920年代まではその前衛的な作風が時代が追いつかずに評価されませんでしたが、1930年代初めから戯曲として不動の地位を築き上げ、その後30年間にもわたり演劇や映画で多くの人々から、称賛され続けられました。
このマルセルというモデルは、マルセル・アシャールへのオマージュ(レプリカ)として作られました。E.B. メロヴィッツの顧客であったカール・ラガーフェルドが、黒のマルセルにグレーのグラデーションレンズを入れて掛けたことにより、女性に赤のマルセルがとても売れたそうです。

以上、E.B. メロヴィッツを象徴するデザインでもある、ラウンド型、丸めがねを2型ご紹介させていただきました。

丸めがねといっても、線の太さや大きさにより、それぞれ美しさが変わって来ます。
もし生涯で一本、丸めがねを選ぶとしたら、E.B. メロヴィッツの丸めがねにされてはいかがでしょうか?

E.B. Meyrowitz|E.B. メロヴィッツ
PRODUCT NAME: Sacha
PRICE:102,300yen (w/tax)

E.B. Meyrowitz|E.B. メロヴィッツ
PRODUCT NAME: Marcel
PRICE:102,300yen (w/tax)

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POSTED BY blinc AT 8:51 PM

TAGS: 丸めがね