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Vol.29_2017.11.16

Yoshiyuki Morioka 森岡督行

今回の『Megane GENTS & 美女』は、森岡書店店主・ブックディレクターの森岡督行さんにお話を伺いました。森岡さんは古書店勤務を経て、2006年に茅場町の年代物のビルで「森岡書店」を開店、2015年銀座に「一冊の本を売る本屋」として「森岡書店 銀座店」をオープンされました。自店での企画にとどまらず、執筆、展覧会のキュレーションや調査活動など、幅広くご活躍されています。

 

「一冊の本を売る」と聞くと、1つのものをのんびりと丁寧に扱う印象を受けますが、展示期間中は本の世界観を伝えるため、書籍以外のものも併せて展示したり、ワークショップをはじめ本を作る人と読む人をつなぐイベントも行われています。また書店以外にも精力的に活動されている森岡さん、その企画力はどこから生まれてくるのでしょうか?

 

そして、森岡さんのメガネ選びのポイントは…?

ぜひご覧ください。

 

(今回の撮影は森岡書店 銀座店にて、8月に行いました。)

 

<聞き手>

本日はよろしくお願いいたします。早速なんですが、森岡さんはメガネをかけていらっしゃるイメージが強いのですが、いつからかけていらっしゃるのでしょうか?

 

<森岡さん>

高校1年生の時からです。黒板の文字が見えにくくなったなと思って、かけはじめました。

 

<聞き手>

高校生くらいだと、コンタクトを使う方もいますが、森岡さんはメガネだったんですね。

 

<森岡さん>

最近かけている感じと同じ、セル枠のメガネをかけていました。コンタクトと併用している時期もあったのですが、今はメガネだけです。

 

<聞き手>

東日本大震災のときにメガネをかけることにしたという記事を拝見しました。

 

<森岡さん>

そうなんです。コンタクトは水をつかったり、非常時にはメンテナンスが大変ですよね。使い捨てコンタクトだとストックが必要ですし。

 

<聞き手>

確かに震災の後は、駆け込み寺のようにお客さまがいらっしゃいました。枕元に置いておけばパッと出られるということで。1本あると安心です。

荒岡眼鏡
PRODUCT NAME: Elder_ARAOKAGANKYO
COLOR: 02 BROWN SASA

 

<聞き手>

まずは1本目のメガネです。今回お持ちしたのは私たちブリンク・ベースの運営会社、荒岡眼鏡の77周年を記念して製作した「Elder_ARAOKAGANKYO」をお持ちしました。

 

<森岡さん>

77周年なんですか!おめでとうございます。このメガネの話は以前から伺っていたので、気になっていました。創業者の方がかけていらしたものが、もとになっているとか。

 

<聞き手>

ありがとうございます。そうなんです、創業者の荒岡秀吉がかけていたブロウラインのメガネがもとになっています。通常はブロウラインのメガネは上はアセテート、下はメタルで作られるのですが、プロダクトデザイナーの二俣公一氏が全てアセテートで再構築したのがこちらのメガネです。生地を日本のメーカーが製作しているのですが、今回は日本の特徴的な柄、笹柄のものをお持ちしました。どこをカットしてもきれいに笹柄が出るようにつくられています。

 

<森岡さん>

ほんとうに柄がきれいに出ていますね。

 

<聞き手>

柄の色味が上部の厚みを出している部分と、下部の少し薄く、丸みを出している部分で違ってみえるので、面白い柄だなと思います。森岡さんの瞳の色も少し薄い茶色なので、色味も含めてとてもお似合いですね。

そういえば以前こちらに伺った時に「メガネのレンズは厚みのあるがっちりしたものがお好き」とおっしゃっていたのですが、普段かけていらっしゃるメガネも厚みがあるものをお使いですよね。レンズを薄くしないのには、理由があるのでしょうか?

 

<森岡さん>

以前は薄いものを使っていたのですが、分厚いレンズがグルグルになっていると、コミカルさがありますよね。年齢的なこともあると思うのですが、今40半ばくらいで、そういう面白みをとりいれてみたいと思いました。またそのうち変わるかもしれないですけれど。

 

<聞き手>

 コルビジュエのメガネみたいなレンズの内側に顔の輪郭が入ってしまうかけかたですよね。牛乳瓶の底みたいな…(笑)。森岡さんもレンズの度数が強めなんですね。うちにもあえて厚いレンズを使っているスタッフがいますが、レンズひとつでキャラクターを構成する要素が作れますよね。今のご自身の雰囲気にも、とても合っていると思います。

SAVILE ROW
PRODUCT NAME: OSRC7 Round
COLOR: Rhodium Shiny / Matt Black rim

 

<聞き手>

次はイギリスの老舗、SAVILE ROWのメガネです。今まで太いフレームをかけられているイメージだったので、あえて細めのものをお持ちしてみました。ジョン・レノンもかけていたブランドで、東ロンドンで長く続いているALGHA WORKSという工場のものです。イギリスはNHSという保険制度によって、国民に無償でメガネが配られていたんですね。ここはその時から生産していた工場のひとつで、ジョン・レノンもここのメガネを数本持っていたようです。それを映画の時にかけたりしていました。

 

<森岡さん>

そうなんですか!僕もジョン・レノンにあこがれて、丸メガネをかけていたことがあります。

 

<聞き手>

実際ジョン・レノンがかけていたサヴィル ロウのメガネは、今おかけになっているものよりも楕円形で下が長い、パント型のものです。よかったらぜひ店頭でお試しください!こちらのラウンド型もお似合いですね。ところで、森岡さんは、物選びにこだわりをお持ちなのではないかと思うのですが、普段かけられているメガネはどのように選ばれたんですか?

 

<森岡さん>

今かけているメガネは、自分の仕事が一新したのを機に、メガネをかえてみようかなと思って購入しました。銀座に店舗を持ったので銀座でメガネを買おうと思って、なんとなく見てたらなんとなくいい形を見つけて、今のメガネにしました。

これから新しい仕事もはじまり、続いていきそうな時なので、またメガネを変えるにはいいタイミングなんじゃないかと思って、今日の撮影を楽しみにしていました(笑)。

 

<聞き手>

場所のご縁を大切にされていますよね。こちらの店舗も森岡さんが集められていた対外宣伝誌『NIPPON』が制作されていた建物なんですよね。

 

<森岡さん>

そうなんです。あとはメガネに限らず、物を買う時は「これを持った時にどうなるだろう」とかそういう妄想がよく働きます。

たとえば店内で置いているほうきは、京都で買ってきたんですけど、それもここに置いておいたら「これ何ですか?」っていう風に誰かが聞いてくれるんじゃないかと思って。自分も実際買ったお店で「これはどういうものですか?」って聞いて、買ったんです。

コミュニケーションが紡がれるイメージが発生すると、より買いたい気持ちになります。

 

<聞き手>

 森岡さんの選び方は、ただ消費するための選び方ではないんですね。夢が膨らみますし、11つ記憶に残りますね。

C.W.Dixey & Son
PRODUCT NAME: CHARTWELL 03
COLOR: Tortoiseshell

 

<聞き手>

最後の1本はC.W.Dixey & Sonです。このブランドはかなり古いイギリスのブランドで、230年くらい続いています。かつては光学メーカーだったので、清の乾隆帝にも望遠鏡を献上しています。

 

<森岡さん>

清の乾隆帝!歴史があるブランドには惹かれます。

 

<聞き手>

その後メガネを生産するようになって、チャーチルのためにラウンドとリーディングの眼鏡をつくりました。その後徐々に形を増やしていったようです。まただいぶイメージが変わりますね。すごくかっこいいです。

 

<森岡さん>

つるに「Hand made in France」と彫ってありますね。

 

<聞き手>

生産はフランスで行っているんです。ちなみに、耳にかけるところに2つ点が入っていると思うのですが、それはチャーチルが依頼したもので、もしかしたら自分の印だったのではないかと思っているのですが、今はC.W.のどのメガネにもこの点が入っています

このメガネは普段は店頭には出していないので、ご存じのお客様がいらっしゃったら、奥から出してきています。

 

<森岡さん>

骨董屋さんみたいですね。店頭にないものを売るっていう。

<聞き手>

ところで森岡さんとはまだお会いしてから間もないのですが、初めて会った人との距離の詰め方もそうですし、引き寄せる力がすごいなと思うんですが、何か意識されている事はあるんですか?

 

<森岡さん>

たとえばですが、電車に乗っても誰かいないかなって、あたりを見ますね。

だから電車の中で誰かと遭遇することは多いです。あと道を歩いている時も、毎日誰かとすれ違います。

<聞き手>

誰かいないかなと思って探しているわけですね(笑)。先ほど、こちらに向かわれている時にも、どなたかとご挨拶されていましたね。

 

<森岡さん>

「縄文系」とか「弥生系」ってあるじゃないですか。以前日本人を2つに分けるみたいな企画があったんですけれども、自分はどちらかというと縄文系なんです。狩猟・採集。弥生系は農耕が中心で、安定してそこで過ごす組織の中でやるのが得意というか。私は毎日狩りに出るようなイメージがあるんです。「何か獲物を探してきます」みたいな。

 

<聞き手>

アンテナを常に張り巡らされているんですね。

 

<森岡さん>

そういう傾向が強いと思います。

東京って縄文系の人が多いと思っていて、フリーランスの方だけでなく、組織にいてもフリーランスのような立ち位置で仕事する人も多いじゃないですか。そういう人たちは自分たちで何かを作っていかなければいけないから、出会いも大切にします。

そう考えると、東京って都会なんだけれども、考え方によっては大自然がひろがっているようでもあります。コンクリートって主な原料は砂じゃないですか。天然素材だなと思っていて、木造の住宅もそうだし、ガラスって石を融かして作りますし、鉄鉱石で鉄をつくるし、割と天然素材・自然由来のものでできていると思うんです。

 

<聞き手>

偶然なのですが、最近僕もメガネも天然素材を使ったものが気になっています。

街は「コンクリートジャングル」っていいますけど、森岡さんのお考えで見てみると、本当にジャングルですね(笑)。

 

<森岡さん>

そうですね。放置されているビルや住宅には、一気に植物が入っていけて、植物に優しいと思ったりすると、このあたりは非常に「自然」「自然」「岩場」「岩場」…みたいなところで、そこに縄文の人が狩りをしている。狩猟採集、そういうイメージがありますね。

 

<聞き手>

東京も意外と原始的ですね(笑)。日本は確かに農耕民族のイメージが強いですけど、狩猟民族として「誰かいないかな」っていう気持ちで歩いていると、面白そうですね。

 

<森岡さん>

はい、誰かいないかなって思っています。エスカレーターでも年に何人かすれ違うんですよ。地下鉄や商業施設で。

 

<聞き手>

そういうところで会うと、テンションが上がりそうですね!

 

<森岡さん>

そうですね。「来た来た!」と思いますね(笑)。

 

<聞き手>

移動中は結構オン・オフでいうとオフの気持ちでいることが多いのですが、今度街で森岡さんを発見してこちらからお声かけしてみたいです(笑)。本日は楽しいお話をありがとうございました。

Yoshiyuki Moriokaスタイリング写真

[ スタイリング ]

アイウェア :
SAVILE ROW|サヴィル ロウ
シャツ :
KATO
パンツ :
MARGARET HOWELL:

Yoshiyuki Morioka
森永 督行

Morioka Shoten Co., Ltd. owner / Book Director
森岡書店店主・ブックディレクター

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