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Vol.25_2017.02.15

Shinya Sakurai 櫻井真也

暦の上では春になりましたね。今回の『Megane GENTS & 美女』 は、『櫻井焙茶(ばいさ)研究所』を主宰・所長をつとめる櫻井真也さんにお話を伺います。櫻井焙茶研究所では、日本各地のお茶をはじめ、日本古来の二十四節気に合わせたブレンド茶、炒り具合の違う焙じ茶、お茶をアレンジしたお酒など、幅広く日本茶を楽しむことができます。

凛とした茶室のような空間でいただくお茶は、外国からの観光客の方にも人気です。

空間や道具の佇まいだけでなく、スタッフの方も穏やかで落ち着いて、ピシッとしている。この空気はどうやって作られているのでしょうか?

そして、櫻井さんのメガネ選びのポイントは…?

 

ぜひご覧ください。

 

<聞き手>

櫻井さんは20代のころダテメガネをかけていたと伺ったのですが、どんなきっかけでかけることになったのですか?

 

<櫻井さん>

僕がHIGASHIYAのグループ※に入ったのが234歳の時で、その頃にHIGASHIYAに茶房のスペースができて、そこに立つことになったのがきっかけです。僕はもともと童顔なので、どうしても若く見えてしまうし、外見でなめられないように、オーナーと話してメガネをかけることになりました。メガネ屋さんでオーナーと一緒にお店のイメージに合うダテメガネを選んで、仕事中はかけるようにしていました。23年くらいかな。その時も坊主頭でメガネをかけていて、店内の照明が暗いところだったので見えづらい気がして、結局メガネはいつも上にあがっていました(笑)。

 

※季節の生菓子をはじめとしたミニマルで洗練された和菓子を提供する「HIGASHIYA」をはじめ、八雲茶寮などの和食料理店他、レストラン・バーなどを展開している。

 

<聞き手>

メガネを額の上にのせるスタイルですね(笑)。それもまた職人さんのような佇まいで、雰囲気がありそうですね。

最近は暗いところで見やすいレンズも出ています。少しレンズが赤く染色されているのですが、裸眼より暗いところでよく見えるレンズもあるんですよ。見え方を補正してあげるような。

櫻井さんがメガネを選ぶ時は、やはり似合うかどうかというところが重要ですか。

 

<櫻井さん>

そうですね、それはありますね。あと、黒縁は好きなんです。何かあるんでしょうね、自分の中で。

Brand: C.W.Dixey&Son|シー ダブリュー ディキシー アンド サン

Model: Chartwell 22

Color: B

 

<聞き手>

それはちょうどよかったです。黒縁、お似合いです。今回お持ちしたのも黒系のものがほとんどです。

こちらはC.W. Dixey & Sonのメガネです。300年近い歴史のあるイギリスのブランドなのですが、光学メーカーからはじまっていて、ナポレオンや清の乾隆帝にも望遠鏡を献上していました。後にメガネの会社になって、王族や、チャーチルも愛用していたと言われています。ほかにも007の作家のイアン・フレミングとか、イギリスの伊達男たちが愛用しているブランドです。有名なのはラウンドのタイプなんですが、今季新しくこちらのスクエアのタイプを入れてみました。

 

<櫻井さん>

そういう歴史とか、面白いですね。メガネに興味を持たないと、ぜんぜん知らないですからね。

 

<聞き手>

僕たちはメガネの生まれた背景を大切にしていて、なるべくお客様にもお伝えするようにしています。これは店主がネットサーフィンをしていたら見つけたブランドで(笑)、日本のメガネ屋ではうちだけの展開です。

櫻井さんはサングラスもかけられるそうですが、選ぶときのポイントをお聞かせいただけますでしょうか。

 

<櫻井さん>

選ぶポイントは、まず自分の顔(輪郭)に合うかどうかと、あとはサイズですね。

 

<聞き手>

今日お持ちいただいたサングラスは大きめでしたが、顔がかくれるようなタイプがお好みですか?

 

<櫻井さん>

その時によって変えています。帽子をかぶっていたら、こういうサングラスにしようかなとか。それこそTPOじゃないですけど。僕がメガネをかける時って、外出する時とか休みの日しかないので、気分を変えるためにかけていることが多いですね。今日は顔周りがさみしいなとか、昨日飲み過ぎたな、とか(笑)。僕は目がいいので、本当はかけなくてもいいので。

最近は、沢山メガネやサングラスの種類がありすぎて、逆に選びづらいところはあります。どういうのがいいのかな…っていう。多すぎちゃって。

 

<聞き手>

ショップにいらっしゃるお客様でもそういう方は多いです。メガネがありすぎるっていう(笑)。

明快な流行があれば分かりやすいのですが、今はもう多種多様なので。

デザインもですが、かけ心地を基準にされる方もいらっしゃいます。

こちらのフレームはいかがでしょうか?

Brand: EYEVAN 7285|アイヴァン 7285

Model: 554

Color: 2023

 

<聞き手>

フロントはネイビーのセルで、サイドはブラウンのメタルです。福井で作っている日本のブランドで、アイヴァン 7285のメガネです。すごく繊細ですよね。少しラウンドに近い形です。

 

<櫻井さん>

フィット感がいいですね。ぴたっととまる感じがします。

 

<聞き手>

このフレームは、かけ心地でやみつきになるお客様が多いです。チタンの合金を使っているので、弾力性もありながら軽くて頑丈です。こちらもお似合いですね。

次は櫻井さんご自身について伺いたいのですが、お茶に目覚めたきっかけを教えてください。

 

<櫻井さん>

お茶を扱うのは前職から仕事としてやっていましたが、もともとは日本と海外をつなげる仕事がしたいと高校生の頃くらいから思っていました。そんな事を頭の片隅におきつつ、まずはバーテンダーから入ったんです。

銀座のバーでアルバイトからスタートして、その後紹介で前職の『SIMPLICITY』というHIGAHIYAを運営する会社に入りました。そこがお茶とお酒と和菓子と日本料理を出しているところで、はじめて仕事としてお茶に出会いました。それまでは日常的なお茶しか飲んだことがなくて、予備知識はありませんでした。僕はバーテンダーをやっていたので、お酒のバーディングとお茶の淹(い)れ方のプロセスが似ていて、論理的な部分や、所作をどう美しく見せるかっていうところは、すっと入ってきました。

あとお茶を勉強するようになって、お茶の種類や特徴に幅があることや、抽出温度によって味が変わるということを知りました。スタートした当初は、お茶でこういうお店をやるっていうのは考えてなかったですね。

 

<聞き手>

いつからお店を開こうと思われたのですか?

 

<櫻井さん>

海外でお客さまのためにお茶を淹れる経験をしたのですが、そこから日本に戻ってきた時に日本のお茶屋さんとか煎茶をとりまく状況が、この10年間ほとんど変わってないことに気が付きました。それに、お茶のことをもっと知りたくても、スタイリッシュで今に合ったような、お店があまりなかったんです。老舗のお店とか、もともとお茶を作っている人のお茶屋さんがほとんどでした。それを感じた時に、僕が表現できることがあるんじゃないかと思って、そこからお茶をもっと専門的に学んで行こうと思いました。

 

<聞き手>

確かに、個人的にもお茶の店に行く機会はありましたが、櫻井焙茶研究所のようなお店ってそれまでなかったと思います。具体的にお店をオープンしようと思ったきっかけはあるんですか?

 

<櫻井さん>

以前の職場の八雲茶寮では、お茶と料理を合わせるお茶のコースがあって、その企画をした時に、お茶の面白さを改めて知りました。お茶って、日本人でも知らないことが結構あって、体験した方が感動してくださるんです。それで、こういうお茶の魅力を伝えていくようなことは続けていくべきなのかなと思いました。それが2930歳くらいの頃で、そこからお茶を使って何かをやっていこうと思って、2年前にこのお店が出来た感じです。

 

<聞き手>

こうした経緯だったのですね。

<櫻井さん>

今でも生産家さんたちとお話させていただくと「お茶が売れないんだよね」っていう暗い話をよく耳にします。それは、お茶を消費者に渡す、提供する『場所』が育っていないのが、一つの原因だと思っています。うちのお店でもいろんな生産者さんのお茶を扱わせていただきますが、それをお客さまがおいしく飲んで、お茶の世界を知ってもらうことによって、初めて生産家にまで興味を持っていただけると思っています。

先ほどの歴史のあるメガネと一緒で、お茶の生産背景を伝えることも僕たちの役割です。和食や日本酒、それこそコーヒーなんかはどんどんいろんな世界観で広がっていますよね。

 

<聞き手>

確かにお茶って日常にありすぎてなかなか目がいかないですよね。それかお稽古事として特別なものとして習得するか…。わざわざお店に行って楽しむのは経験としてなかったです。

 

<櫻井さん>

もうちょっと何か違う価値観とか、楽しみってあるんじゃないかっていう。そこを提案していけたらと思っています。でも最初、HIGASHIYAでお茶を出すことをスタートした時は、「なんでお茶にお金を払わないといけないんだ」って言われ続けながらやっていました(笑)。

 

<聞き手>

確かにお茶って普通はご飯の後に、サービスで出てくるものですもんね。

 

<櫻井さん>

そうなんです。どこに行っても、無料で出てくるものっていうイメージですよね。

それはそれでよいのですが、ひとことでお茶と言ってもいろんなお茶があるということを紹介していくことが必要かなと思っています。

 

<聞き手>

初めてこちらに伺った時、お茶の種類がこんなにあるのかと驚きました。

 

<櫻井さん>

世界にはいろんなお茶があるのですが、日本茶だけが蒸して作られています。紅茶やコーヒーは焙煎といって火を入れたり、発酵させて加工しています。日本茶だけが蒸して作られているので、茶葉の鮮度が大事ですし、いれたてでないと味が変わったりします。

「お茶とお寿司は似ている」って僕は思うんですけど、お茶も生もので、いれた後は劣化が進むだけなんですね。いれたてが一番おいしくて、時間が経過すると色や風味が落ちてくる。

そうやって見ていくとお茶の世界って面白いんですよね。

 

<聞き手>

お茶が生ものっていう感覚は、今までありませんでした…。

 

<櫻井さん>

そうやってみると世界で一番すごいお茶って、実は日本茶なんじゃないかっていう。まだ知らないだけで、いろんな可能性があるんじゃないかと。

 

<聞き手>

長い歴史の中で親しまれてきたものですしね。

 

<櫻井さん>

抹茶は中国茶が起源ですが、中国ではもう飲まれていないじゃないですか。それは日本の土、日本の四季があるからこそ受け継がれてきたものだと思うんですけど、そういう日本で育まれた感覚をこれから世界に広めていきたいですね。

パリに行った時、みなさん『玉露』とか『日本茶』っていう言葉は知っているけれど、本当の味はまだまだ伝わっていないと感じたので、今から僕たちが伝えていきたいです。

 

<聞き手>

おいしい日本茶が世界に広まっていけば、生産農家さんにとっても嬉しいですね!

次のフレームは、イギリスのOLIVER GOLDSMITHというブランドの新しいライン、OG×OLIVER GOLDSMITHのものです。

Brand: OG×OLIVER GOLDSMITH

Model: Re:RADLETT

Color: 025

 

<櫻井さん>

結構昭和っぽい感じになりませんか?

 

<聞き手>

大丈夫ですよ。メタルですがマットブラックなので、モダンな印象になると思います。こちらのお店においてある道具の質感が、黒っぽくてマットなものが印象的だったので、今回こちらをお持ちしました。過去のOLIVER GOLDSMITHのモデルを新しい素材を使って、リデザインしたものです。こちらのフレームもかけ心地がよいのではないかと思います。

 

<櫻井さん>

いい感じですね。フレームが視界のじゃまにならないし。

 

<聞き手>

それはよかったです。フレームが細いので気になりにくいのかもしれませんね。ところでこちらのお店では皆さん所作が美しく、いつも3煎(せん)とも「これ!」という味のお茶が出てくるのは気持ちがいいですね。

 

<櫻井さん>

ありがとうございます。そういうお店もないとだめだと思うんですよね。いろんなお店があってよくて。例えば最初はお店の人がいれてくれて、次からは自分たちで淹れるスタイルもあってよくて、うちみたいに3煎全部お店側で出すところもあって、先にちょっと飲んで確認してから出すところもあって。いろんな出し方がありますが、それは良し悪しではなくてお店の特色だと思います。

 

<聞き手>

1煎目はお店の方がいれてくださって、後は自分でというスタイルも、自分が介入する余地があっていいですよね。逆にこちらのように全てお任せっていうのも、プロの技を体験できる楽しさがあります。

 

<櫻井さん>

うちの場合は「お茶を1煎、2煎、3煎目までちゃんといれるとこういう味になるんだ」っていうのを体験していただくというか、1つの茶葉を使って出がらしになるまでを知っていただきたいんです。そこまでの経験があれば、ご自分でいれた時にもおいしくいれられると思うんです。

味のゴールみたいなものを知らないと、どこを目指して行けばよいのか分からないっていうのがありますよね。少なくとも僕たちは「これでいいのかな?」っていうのではなく、ちゃんと「こういう味なんです」ってお出ししたいと思っています。

 

<聞き手>

さすがプロとしての意識が高いですね…。

オープン当初は西麻布にお店がありましたが、表参道に移転した時に変わったことや変えたことはありますか?

<櫻井さん>

一番大きくは、立地が変わりましたので、以前より気軽にお越しいただけるようになったっていうのは大きいです。変化させたのは、お茶のコースを充実させて、お客さまのお好みに合わせて選んでもらえるような感じにしていますね。

あと海外からのお客様が多くなってきましたので、ここに来れば「日本茶がどういうもので、どういう製法で、どういう味なのか」が分かるようにしたいなと思っています。店名の英語表記を『Sakurai Japanese Tea Experience』にしているのは、その意味合いが込められています。

 

<聞き手>

まさに体験ができる場所ですね。はじめて伺った時には、研究所のような感じもしました。

 

<櫻井さん>

お茶はもともと薬から来ているので、その辺も含めて白衣を着たりとか。「お茶の楽しみ方を研究する」ということで、内装も研究所のような雰囲気にしています。

 

<聞き手>

研究所のようでもあり、(後進のスタッフの方の育成もされていて)お茶の養成所のようでもありますね。最近また、いれてくださるスタッフの方が増えて、みなさんのお茶をお話しながらいただくのが楽しいです。

 

<櫻井さん>

ありがとうございます。お茶のいれ手が育っていかないと、業界も育っていかないと思うんです。

ソムリエじゃないですけど、そういった人たちが育っていったらいいと思います。飲食店の人たちが、ちゃんとお茶の知識を持っていることが重要ですよね。例えば居酒屋の緑茶ハイがめちゃくちゃおいしくなってるとか(笑)。

 

<聞き手>

それは最高ですね!僕は抹茶が入っている緑茶ハイが大好きなんです(笑)。

最後に、初めてこちらに伺った時に、後ろのにじり口みたいなところから入って、結構緊張したのですが『Megane GENTS & 美女』をご覧の方に、櫻井焙茶研究所でリラックスして楽しんでいただくためのアドバイスをいただけますでしょうか。

 

<櫻井さん>

そうですね、だいたい最初はみなさん緊張されます。1煎目を飲み始めるとだいぶほぐれるんですけど…。でも、結構緊張感って大事だと思うんです。少し意識しながら何かを食べるとか、飲むとか、非日常である事も必要だと思うので。最初は緊張するかもしれないですが、まずはお茶を何も考えずに飲んでいただければいいのかなと思います。分からないことはスタッフに聞いていただければいいので。こちらで作法を決めているわけではありませんので、もうそこは「ご自由に」っていう(笑)。

逆に茶道とか頭に少しでも入っていると、逆に重苦しい感じがしてしまうかもしれませんが、うちはカウンターから所作が見られますし、普通に楽しんで、「お茶って面白い」と思っていただければそれで十分です。

 

―今回櫻井さんにお話を伺って、日本茶を洗練された形で提供する『櫻井焙茶研究所』と自分たちの間に「生産者と商品をお客様に紹介する“場”としての店」のというあり方に共通点を見つけられたのが興味深かったです。メガネも鯖江をはじめとする日本の工場には素晴らしい技術があり、生産を続けていただくためには、その魅力を自分たちが店頭でお伝えていく必要があります。今回改めて、身のひきしまる思いです。(高桑)

Shinya Sakuraiスタイリング写真

[ スタイリング ]

アイウェア :
EYEVAN 7285|アイヴァン 7285
白衣 :
制服
トップス :
ノーブランド:
ボトムス :
HAZARDOUS PRODUCTS

Shinya Sakurai
櫻井真也

Sakurai Japanese Tea Experience Owner
櫻井焙茶研究所 所長

櫻井焙茶研究所 http://sakurai-tea.jp/

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