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Vol.19_ 2016.3.2

Taichi Kuma 隈 太一

久しぶりの『Megane GENTS & 美女』 は、神楽坂にあるシェアハウスを運営されている東京大学 工学系研究科建築学専攻 博士課程の隈太一さんにお話を伺いました。

隈さんは、シェアハウスに運営者としてお住まいになりながら、共有スペースの家具製作もされています。

建築、家具、メガネ。それぞれ全くスケールの違うものですが、つくり方・選び方に共通するものはあるのでしょうか?

ぜひ、ご覧ください。

<聞き手>

隈さんには、ブリンク・ベースを以前からご利用いただいて、誠にありがとうございます!

ところで、初めは何がきっかけでご来店いただいたのですか?

 

<隈さん>

初めて伺ったのは4年ほど前です。建築家の藤原徹平さんに教えていただいたのがきっかけです。

はじめて購入したのは、サヴィル ロウのケーブルテンプルのメガネでした。

今日かけているのは2本目のサヴィル ロウで、(セルが)巻いてあるタイプですね。今は気分も相まって、こちらをかけている事が多いですね。

 

<聞き手>

サヴィル ロウはメガネ好きの方に評判がよいですよね。今までサヴィル ロウをたびたびお求めいただいているのは、どんなところが気に入られたのですか?

 

<隈さん>

店頭ではじめて見た時に、サヴィル ロウのメガネは“人の手”が入っている感じがしたんですよね。

機械だけで出来ていないものだと。実際に手にとってみると丁寧な仕事が細部にまで垣間見え、かけ心地が秀逸なのも購入のポイントでした。

 

<聞き手>

なるほど!確かに見た目に手づくり感がありますよね。隈さんは建築をされているので、メガネの構造も気になったりするのでしょうか?

 

<隈さん>

そうですね。構造もやっぱり、気になります。サヴィル ロウのメガネは無駄がないというか、デザインされているんだけど、あまり恣意性がないところがいいと思います

<聞き手>

次は、隈さんが製作された家具を見せていただきましょう。後ろにある本棚も、隈さんが作られたものですよね?

 

<隈さん>

はい、こちらは僕が図面を引き、施工する友人と一緒に組み立てたものです。

1階にある靴箱が、シェアハウス用に作った初めての家具で、それからは技術を職人さんに教えてもらったり、作っているところを見て学びながら作っています。

 

<聞き手>

家具をつくられる時のポイントはありますか?

 

<隈さん>

このシェアハウスの場合は、壁材に『ラーチ合板』という一番安価な素材を使っているんですが、もともとはこの上にボードを貼ったり、塗装して使うような、本来は見せない素材なんです。

それを外に出しちゃおうという話をして、逆に外に出すことで、安い素材なのでそんなに劣化しても気にならないし、ネジを打ち込んでも気にならないからいいんじゃないかと(笑)。

建物の中は隙間をあけても、全部がつながっているような空間にしたかったので、床はこれ、天井はこれ、みたいな素材の使い分けをしたくなかったので、あえて家具も全部この素材で作りました。素材の選び方は重要ですね。

 

<聞き手>

隈さんは大学で建築を学ばれていますが、どんなところに面白さがあるのでしょうか?

 

<隈さん>

僕は「手を動かす」というところにこだわっていて、家具をつくるときもそうですし、大学でも模型を作ったりしますが、模型も手で扱える範囲のことなので、そこでつくるものをいかに大きな建築に反映できるかっていうことに興味を持っています。

なかなか大きなものを小さく創造するのって難しいんですけど、今いろいろとコンピューターの技術もあるので、できるだけ手のあとみたいなものを大きな建築物に残せないかっていう…。

 

<聞き手>

建築も手の痕跡を大切にされているんですね!

 

<隈さん>

はい。普通に街に建っている建物って、昔のものは別にして、手のあとってあまり感じないじゃないですか。新しいけど手触り感のあるものが作れないかというのが、今の僕の興味です。

<聞き手>

こんなところに立っていただいてのインタビュー、すみません(笑)!

光の入り方が素敵だったもので・・・。このエントランスではファッションブランドの展示会も行ったりしたそうですね。

 

<隈さん>

(笑)はい、そうです。足元のロープは展示会のインスタレーションに使ったものが、そのまま残っています。

 

<聞き手>

隈さんご自身で、今後取り組んでいかれる予定のことはございますか?

 

<隈さん>

家具の製作は今後ニーズがあると思うんですよね。オリンピックまでに、ホテルとか増えていくじゃないですか。リノベーションするところも出てくると思います。がっつりしたリノベーションじゃなくて、家具をつくったりして簡単なリノベーションができないかな、とか。あとは大学でしかできないこともあるので、それは続けていきたいです。

 

<聞き手>

大学だと実験的なこともできますよね。

 

<隈さん>

そうですね。あとはもっと大きな建築物にも取り組んでいきたいです。

 

<聞き手>

最後になりますが、隈さんにお似合いになりそうなメガネをいくつかお持ちしました。

おメガネにかないますように…(笑)。

 

(今回は4本ご提案しまして、その中で1番気に入られた1本をご紹介します。)

 

<聞き手>

こちらはローレンス ジェンキン スペクタクル メーカーというブランドのもので、手づくり感のあるフレームです。

ローレンス・ジェンキンさんは、アイウェア業界では伝説のデザイナーで、20年くらい前に既に引退されていたのですが、うちのディレクターの荒岡俊行がロンドンまで何度も会いに行って、現役に復帰してもらってできたのがこのメガネです。

 

<隈さん>

ストーリーのあるブランドなんですね。これ、欲しいです!今まで黒縁の眼鏡をずっとかけていたからか、しっくりくる気がします。

 

<聞き手>

慣れていらっしゃると、落ち着くかもしれませんね。カラーも真っ黒ではなくて、ブラックマーブルという、よく見ると大理石のような柄の入った生地を使っています。このブランドは、ローレンスさんご本人と何人かの職人が1本1本手で作っているので、入荷するたびに少しディテールが違ったりするんですよ。

 

<隈さん>

え!?違うんですか。。

 

<聞き手>

そうなんです。サヴィル ロウと一緒でつくる人の気分が入っているんですね。しかもうちのディレクターがローレンスさんに言われた印象的な言葉があるんですが、「Design is never finished」だそうです。常にアップデートされていると思って、受け取っています(笑)。

 

<隈さん>

もしもローレンスさんが亡くなったらブランドはどうなるんですか?

 

<聞き手>

今は娘さんと職人さんに、ローレンスさんが一緒に作りながら技術を伝えているみたいです。ある工程は、他の工場に足を運んで機械を借りて作ったりしているほど小さな規模で作っているのですが、それでもイギリスではメガネの工場はほとんどないといってもいいくらい激減したので、Made in Englandの物づくりができる貴重なブランドです。

 

<隈さん>

昔からの技術を伝えているんですね。それって、とても大切なことですよね。

 

――今回、隈太一さんにお話を伺って、人の手による仕事の大切さ・面白さを改めて感じました。

メガネの手づくり感も、使う人に愛着をもっていただける大切な要素のひとつです。次の世代へ手の技術・文化を繋いでいけるように、メガネ屋としてこれからもその魅力を伝えていきます。

隈さん、貴重なお話をありがとうございました!(高桑)

Taichi Kumaスタイリング写真

[ スタイリング ]

アイウェア :
LAWRENCE JENKIN SPECTACLE MAKER
ニット :
JOURNAL STANDARD
パンツ :
ZARA:

Taichi Kuma
隈 太一

University of Tokyo
School of Engineering Department of Architecture PhD course
東京大学 工学系研究科建築学専攻 博士課程

隈 太一さんが所属されているT_ADsの近作
『weaving carbon fiber pavilion』は
こちらからご覧いただけます。

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