LAWRENCE JENKIN SPECTACLE MAKER|ローレンス ジェンキン スペクタクル メーカー 誕生まで〜後編〜
09.18.2014
Lawrence Jenkin Spectacle Maker
ローレンス ジェンキンは1996年の引退後、『眼鏡を通じて人助けをしたい』という思いから、英・オックスフォード大学のジョッシュ・シルバー(Josh Silver)教授の協力のもと、ボランティア活動を始める。
教授が発明していた『油圧式レンズ』は、特別な訓練なしに視力にあった度数を調節出来る画期的なもので、これを『adspecs』という眼鏡の形にして、医師不足や貧困で眼鏡が普及しづらいアフリカやインドなどに配布。
ローレンスは自分の家を売り、私財を投じてボランティアを続け、『adspecs』は今も世界中に広がり続けている。
2000年、ローレンスは弟のTony Jenkin(トニージェンキン)に会社の権利を譲渡し、Anglo American Opticalに再び社名も変更となった。
ブランド自体は現在もトニーによって継続中である。
2005年夏、ブリンクバイヤーの荒岡は共通の友人を介して、ローレンスと初めて対面。
『一度は眼鏡業界を退いたが、また眼鏡を作っても良いかなとも思う。しかし、イギリスでは熟練したアセテート眼鏡の職人はほとんど引退していて、生産は難しい』
そう語っていた彼だが、その後、2009年にイギリスの老舗工房アルガワークスの地下を間借りし、アセテート眼鏡を作る機械を少しずつ集めて再スタートに向け準備を始めていた。
7年ぶりに彼と再会した時に話していた印象的な言葉が、『Design is never finished.』。
ローレンスは71歳になった今も、デザイナーとしてまだまだ新しいものを求め続けていたのだ。
30〜40年前のアングロアメリカン時代にデザインしていた時から、様々な人生経験を積んだ今、彼はどんな思いでデザインをするのだろう?
そんな思いで荒岡は口説き続け、ついに今年”LAWRENCE JENKIN SPECTACLE MAKER”が誕生。
ローレンスの眼鏡はトレンド会わせたデザインではなく、シンプルながらもしっかりとした個性が垣間見える。あたたかみのあるオールハンドメイドの質感もまた魅力的だ。
今後もきっと、ローレンスの進化し続けるデザインには驚かされることだろう。