“Tracing the Roots” ayame|アヤメのルーツに迫る(後編)
8月13日(土)からアヤメのルーツをたどる機会として、過去のアーカイブから最新作まで50本以上のメガネ・サングラスが揃えた展示を開催し、ご好評をいただいています。今回はデザイナーの今泉 悠さんにショップに立ち寄っていただき、デザインとご自身のルーツについてお話を伺いました。
後半では、はじめてアヤメをかける方におすすめのメガネと、ブランドの今後、今泉さんのルーツについても伺います。
マネージャー本多(以下本多):今回のイベントで初めてアヤメを手にする方に、かけてもらいたいメガネはありますか?
今泉さん(以下今泉):これといって決まったフレームはないのですが、かけていただくお客様にはメガネをかけた時の“人との違い”を楽しんでいただきたいです。メイクをする感覚や変身願望をかなえるアイテムとして、その手助けができると嬉しいです。
本多:確かにメガネは変身願望をかなえてくれるアイテムでもありますよね。
今泉:ファッションは、その人に馴染むっていうことが重要ではないですよね。メガネも同じように馴染むよりむしろ、「こうなりたい」とかちょっと背伸びというか、冒険していただきたいですね。僕は完成されたものにそれほど魅力を感じないんです。温かみがあるというか、人がかけて成り立つものがいいと思うし、みんなが同じ顔になってしまうものは違うと思っています。
アヤメのメガネを買ってくれた女性の友人から、「メガネを掛けて遊びに行ったら色んな人におごってもらえてお金使わなかった(笑)」と言われたことがあって、もともと友人も素敵な人なのですが、メガネを評価してもらえたみたいで嬉しかったです。
本多:何か男性が惹かれるものがあったんでしょうね。ブランドのコンセプトからすると、まさに狙い通りのいいエピソードですね。ところで、デザインにも関わってくる話で、今後海外展開もされると伺ったのですが…。
今泉:はい。今後ヨーロッパでの展開が決まったのですが、はじめはフランス、イギリス、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの5か国でスタートする予定です。
本多:アヤメは日本人の顔に合う形が特徴でしたが、世界で展開するとなるとアジア向けモデルとヨーロッパモデルを作っていかれるのですか?
今泉:2モデルつくる予定は今のところなくて、オーストラリア人とドイツ人の友人に試しにかけてもらっているんですけど、アジア人用のノーズパッドがついていても大丈夫なんです。思ったより掛けられる。今まではアジアンフィットって言ってたんですけど、どちらも掛けられる黄金比はあるのかもしれないですね。そこらへんは突き詰めていったら面白いと思います。
世界展開はもともと考えていたので、日本の花である『アヤメ』をブランドネームにしました。福井県鯖江市で作ったプロダクトっていうことも伝えたかったですし。
本多:思っていたことが実現してきていますね。
今泉:生産数を増やして、日本の工場に仕事をお願いするのが自分の使命だと思っています。日本の工場はいいものを作っているのに、数は大分減少しています。今はようやくメガネが市民権を得てきましたが、工場がうるおってもらわないと生産の継続ができないので、もっと鯖江の工場と仕事がしたいです。
プラスチックのメガネよりも、メタルの方がより工程が多いので沢山の人の手がかかりますし、これからも産地の事を考えながらデザインしていきたいですね。ネジをはじめ、パーツの共同開発にも力を注いでいます。
本多:『アヤメ』は今泉さんのご出身の潮来市のシンボルになっている花でもありますよね。
アヤメについて印象に残っている風景や思い出はありますか?
今泉:潮来には『水郷潮来あやめ園』という公園があって、あやめまつりも開催されます。
小さい公園なんですけど、お祭りの期間中には公園の中で、「嫁入り舟」といって花嫁さんがお父さん・お母さんと渡し舟に乗るんです。それがすごい情緒があって…。昔は水郷の町って言われるくらいきれいでした。利根川の下流域なので、もともとは宿場・遊郭で栄えた町だったんです。
地元といえば、日本一だと思っている餃子のお店があるので、1回みんなお連れしたいです!自家製の皮がモチモチで美味しいんですよ。
本多:餃子、いいですね!ぜひご一緒したいです!地元エピソードといえば、サーフィンも地元で始められたのですか?
今泉:はい、そうです。ただ若い頃はウエットスーツが高かったので、家から車で30分くらいいったところの海で夏と秋にしかできなかったですが(笑)。
本多:今回はイベントにあわせて潮来市の農家さんのイチジクを使ったコンフィチュール(ジャム)も販売する予定です。まだイチジクが採れないので今日ご用意したのはLa Table de Izumiの別のコンフィチュールですが、出来上がったら今泉さんにもぜひ召し上がっていただきたいです。
今泉:今食べているのも、美味しいですね!ボトルの裏の原材料が手書きなんですね。いいなぁ、手づくり感がありますね。
本多:厨房のコンロで銅鍋でコトコト煮ているので、1回の製作で15本くらいしか作れないそうです。旬の素材で100種類以上のレシピの中から、年間70種類以上製作しているので、ラベルは1本1本手書きなんだそうですよ。
今泉さんには今回の展示のために私物をご提供いただくなど、ご協力ありがとうございます。本日もお忙しいところお立ち寄りいただいて、ありがとうございました。
今泉:こちらこそありがとうございました。
Photo: Kota Takakuwa
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