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“Tracing the Roots” ayame|アヤメのルーツに迫る(前編)

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8月13日(土)からアヤメのルーツをたどる機会として、過去のアーカイブから最新作まで50本以上のメガネ・サングラスが揃えた展示を開催し、ご好評をいただいています。今回はデザイナーの今泉 悠さんにショップに立ち寄っていただき、メガネのデザインとご自身のルーツについてお話を伺いました。

マネージャー本多(以下本多):今回の展示で、アヤメを初めてご覧になるお客様もいらっしゃるので、ご存じの方も多いかと思いますが、改めて基本的なお話から伺わせてください。まず、アヤメのデザインはどうやって考えられているのですか?

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今泉さん(以下今泉):1番はじめは「自分の掛けたいメガネを作りたい」というところからスタートしていますが、アヤメというブランドの名前にもあるように、「目を彩る=彩目」というところから、デザインについては目に1番近い“玉型(メガネに入れるレンズの形)”から考えています。一般的にはフレームのデザインを考えるのが先ですが、僕はお話したような理由からレンズの形に重きを置いていて、カーブを描いたら、それを回転させてみて、どの角度から見ても美しいと思える形を採用するようにしています。

本多:カーブといえば、今泉さんが一昨年行かれたバルセロナにあるサグラダ・ファミリアはカテナリー曲線(ロープや電線などの両端を持って垂らした時に自然にできる曲線)が採りいれられていたりしますよね。実際にご覧になられて、デザイン的に刺激になりましたか?

今泉:そうですね、妻とアパートを借りて1週間ほど滞在したのですが、とても刺激を受けました。私たちが扱っているメガネは『工業製品』ですが、一般的な工業製品のイメージって、冷たい感じがしませんか?逆にガウディがつくっているものって、動物の背骨とか、有機的なものがモチーフになっていることが多いですよね。バルセロナに行って、無機物に有機性をミックスするにはどうしたらよいのか考えさせられました。今後のデザインに活かせたらと思っています。

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本多:次に、今回はじめてブリンク・ベースに入荷するアイテムについて伺いたいのですが、NEW OLD_S(写真下)はayameの定番になっているNEW OLD(写真上)の枠を細くしたものですが、細くするのって難しかったのではないでしょうか?

今泉:はい、難しかったですね…。NEW OLDは厚みがあるのがかっこいいデザインなので、成り立ちからして違います。昔ジェームス・ディーンがタキシードにオーバーサイズのメガネをかけていて、抜け感がかっこよかったんですよね。そこからスタートしてNEW OLDができました。NEW OLD_Sはただ細くしたのではなくて、玉型(レンズの形)から変えています。比率もぜんぜん違うんです。今回、フレームを細くするのってこんなに大変なのか…と思いました(笑)。

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本多:ADMIRALはいかがですか?形については一般的なウエリントンで、玉型(レンズの形)もきれいですが、フレームのボリューム感が独特で、上下の太さを敢えて変えているところが面白いですね。

今泉:ADMIRALはお客様や友達から、プラスチックとメタルのコンビフレームの要望があって作りました。周りからのリクエストは結構採りいれています。ブランドがはじまったのも、自分の欲しいメガネがスタートなので。ある人の顔のイメージがあって、この人にこういうモデルが作りたいなって考えることもよくあります。逆に僕はコレクションのようにテーマを作って、それに合わせて作るっていうモノづくりはできないです(笑)。
人の顔があってなんぼのものなので、突飛なデザインもしないですね。

本多:デザインされるときに他に心がけていることはありますか?

今泉:最近のメガネって玉型(レンズの形)がほとんど似ていますよね。せっかく安くないお金を払って買っていただくのだから、手ごろな価格帯のメガネと似ているものはいらないでしょう。だったら特徴がある、毒気のあるようなものがいい。何にも属さない玉型はアヤメの特徴です。

本多:確かにアヤメのメガネは特徴があるので、メガネを主役にもってこられますよね。

今泉:特徴があると感じていただけるのであれば、それはある意味アヤメのメガネが『未完成』だからかもしれないですね。ブランドがデビューしたころからお世話になっている方からアドバイスをいただいたのですが、「他業種から入ってきた人間だからこそ、常識にとらわれない発想でデザインできる。未完成だからこそ完成されたメガネと並べると光るものがあるし、それがブランドなんだよ」と言ってもらったことがあります。
もちろんメガネとして機能的には成立していますが、どれも完成はしていません。それが物の温かみにつながっているのかなと思います。先ほど見ていただいたNEW OLDも秋にリニューアル予定です。

本多:完成しないプロダクトって面白い。進化し続けるということですよね。

ベースで展開しているイギリスのブランドLawrence Jenkin Spectacle Maker | ローレンス ジェンキン スペクタクル メーカーのデザイナー、ローレンス・ジェンキンも70歳を超えても同じように”Design is never finished.”と言っています。
NEW OLDのリニューアルも楽しみにしています。

後編では、はじめてアヤメをかける方におすすめのメガネとブランドの今後、今泉さんのルーツについても伺います。

Photo: Kota Takakuwa
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2016-08-15 | タグ:  

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