YUICHI TOYAMA.の最新作ダブルダッチシリーズ

INTERVIEW

YUICHI TOYAMA sketch01

ブランド立ち上げから2年。「YUICHI TOYAMA.」がとにかくカッコいいということで、ブリンクスタッフ・矢澤直人が、デザイナーの外山雄一氏にインタビューを申し込みました。フレームラインの美しさで定評のあるダブルダッチシリーズのさらなる進化の秘密を聞きました。

矢澤:YUICHI TOYAMA.のアイコン的存在のメガネといえば、一筆書きのようなデザインのメタルフレーム「ダブルダッチ」です。2年前のブランド立ち上げの頃からお店で取り扱いをさせていただいていますが、お客様にとても好評です。

外山:それはうれしいですね。

矢澤:クラシックなメタルフレームが定番化してきているということもあるのですが、そのなかでも、YUICHI TOYAMA.は一線を画しているというか。このブランドを知らない人でも、手にとって購入してくれるというのがあるんです。その理由を考えてみると、やはり、きちんとしたコンセプトがあってデザインされていることが伝わるからなのではないかと思うんです。手にとってくれた方には、ダブルダッチ(=2本でやる大縄跳び)の意味もお伝えします。すると、ますます気になるようで、ぐっと興味を深めてくれます。

外山:2019年発売予定の新作には、そのダブルダッチに新しいコンセプトを盛り込みました。

矢澤:アメリカの彫刻家、アレキサンダー・カルダーがインスピレーションとうかがいました。

外山:カルダーは、20年近く前に知ってずっと気になっていたんです。YUICHI TOYAMA.には、影をテーマにしたコレクションがあるんですが、カルダーも影の美しさやゆらぎを表現しています。モビールは構造が重要ですが、カルダーのモビールには、あるべき構造とデザインが両立していることが感じられるんです。ただ単に装飾としてそこにあるのではなく、風を受けるためにモビールの板があって、針金があって、それがきゅっと曲がってバランスをとっている。いろいろな角度をとりながら、風による揺れ方や、光による影のでき方には、同じものはひとつもない。その一瞬を切り取る時にデザインが成立するんです。

矢澤:置く場所、環境、見る人の背丈などでも、見え方は違ってきますね。

YUICHI TOYAMA sketch02

外山:その一瞬しか出会えないもの。「出会えてラッキー」というか「いいものを拾ったな」「かっこいいな」って思える体験ですよね。カルダーの作品を見ていたら、ダブルダッチが表現していることも、モビールに近いのではないかと思ったんです。モビールのかたちとメガネがリンクしているようなものを作れないだろうかと考えたら、すぐに、ディスプレイのアイデアまで浮かんできて、いろいろと想像が膨らんでいきました。それを象徴するかたちを新作にいかしたいと思ったんです。

矢澤:僕は、この新作を見た時に、80〜90年代に流行したアラン・ミクリのアイウェア・コレクションを思い浮かべましたよ。

外山:本当ですか。実は、僕がメガネのデザインをやりたいと思ったきっかけのひとつが、あの時代の、なんというか、尖ったデザインのアイウェアだったんです。新作は、90年代へのオマージュでもありながら、それをダブルダッチという自分たちのスタイルにミックスさせて、YUICHI TOYAMA.らしさを出せたらと思ってデザインしたところもあるんです。

矢澤:アラン・ミクリもそうだし、パロマ・ピカソの尖った感じも出ている。超かっこいいなって、ぐっときてます。

外山:パロマ・ピカソ……、僕も、当時かなり好きでしたけど、あんまりいないですよ、そういう人。

YUICHI TOYAMA05

矢澤:いやいやいや……、かっこいいじゃないですか。だけど、YUICHI TOYAMA.は、あのかんじをそのまま真似するというのではもちろんなくて、ひとつの“かたち”として捉えているというのがいいなと思うんです。

いまは、クラシックなメガネが人気ですが、ダブルダッチシリーズは、それを正面からやるというよりは、パントやボストンというクラシックな“かたち”をベースにしながら、できあがるものはクラシックでくくれないものになっていますよね。かたちとしての美しさをギリギリまで突き詰めて作っているから、パッと見て、ただのクラシックとは思わない。かたちの美しさが先に目に飛び込んでくるというか。それも他のブランドと一線を画する理由なんだと思います。今回のエッジの効いたデザインを見て、それをとても感じました。

外山:クラシックなものを作っていけることは、かっこいいことだと思うんです。だけど、僕には、というか、きっと誰にも少しだけあまのじゃくなところってあるじゃないですか。クラシックを思いっきり表現するよりも、そのエッセンスをなんとなく嗅ぎ取ってくれる人がいるのがいい。「この人かっこいいな」とか「ものに詳しいな」、「デザインをよく知ってるな」っていう人に気づいてもらえた時が、一番嬉しかったりするんですよね。

矢澤:なるほど。

外山:「普通のクラシックと違うところがありますよね」といってもらえるメガネでありたいとは、いつも思っています。なぜなら、そうでないものは消費されてしまう気がするからです。メガネは作る工程が多く、手間がかかって生まれるものですよね。だからこそ、10年経っても「あの人らしくて、かっこよかったよね」と言われるものを作りたい。「アラン・ミクリやパロマ・ピカソっぽいよね」と僕たちがいうのと同じように、自分のコレクションも、アーカイブとして残るものにしたいですね。

矢澤:「このメガネ、YUICHI TOYAMA.っぽいよね」といわれるメガネですね。

外山:クラシックという切り口でずっとやってきましたが、このあたりで、いい意味で違和感を持つものを作りたいというのが、今回のカルダーのテーマにつながりました。モデル数が増えている中、そういうデザインをすることで、いままでのものがまた違う角度で見えるのかもしれないと思ったんです。

矢澤:新作があることで、ダブルダッチの違う面、新しい魅力が引き出せると。

外山:既存のコレクションと新作を天秤にかけられるような状況を作ることで、スタンダードを作っていきたいんですよね。

矢澤:天秤にかけることで、一連のつらなりの中でデザインが生まれていることも分かる気がします。10年、20年経ったときに「YUICHI TOYAMA.らしい」と思う人は、確実にいると思いますね。

YUICHI TOYAMA06

外山:そうですか。10年後、絶対覚えててくださいよ(笑)

矢澤:もちろんですよ(笑)

外山:でも、そういうのが、本当にこの仕事のやりがいだと思うんですよ。自分のいないところで「あのメガネよかったよね」って言われたい。そのために今を生きるというような。

カルダーに影響を受けて、モビール構造を使ったクラシックなメガネがダブルダッチの新作として生まれた。ダブルダッチ自体が、なにかを発見して発展していくというのがいいですね。あくまでも、自分がこれまでやってきたことや見てきたことを生かしていく。その中で、メガネとしてどう落とし込んだら、手に取ってくれる人と気持ちを共有することができるだろうかと考えています。

YUICHI TOYAMA02

矢澤:そういう意味では「THE LOBBY TOKYO」というこちらのスペースも、お客様との接点になりますね。

外山:ここは、YUICHI TOYAMA.のショールームであり、コーヒーショップであり、ギャラリーです。

矢澤:このスペースを作ったきっかけは?

外山:ただメガネを見るだけではなくて、いろいろなことを発見できる場所を作りたかったんです。自分が参加することのできる店というか。僕自身、そういう体験こそが、買う時の衝動としては一番重要だと思っているんです。もともと知っているものは、ネットで買える時代ですから、リアルなお店の役割は、発見があることなのかなと。海外の方の来店も多くなりました。コーヒーとセットでメガネのメンテナンスも受け付けています。

矢澤:YUICHI TOYAMA.のメガネのメンテナンスですか?

外山:いえ、日本製のアイウェアならば、受け付けています。日本のメガネの品質の良さも感じながら、手に取れる場所でありたいと思っています。

矢澤:それはいいですね。今日はありがとうございました。

Text&eEdit: Saiko Ena

新作の話なのに、写真が見られないの?と思われたお客さま、申し訳ございません…。
実は今回のインタビューでは、2019年発売開始の最新作のお話を伺いました。
外山さんのご厚意で、最新作のプロトタイプを店頭のみでご覧いただけます。
気になった方は、ぜひブリンク外苑前まで!

期間は9月1日(土)から17日(月・祝)まで。ご来店をお待ちしております。

【外山さんがブリンク外苑前に来店されます】
9月9日(日)14:00~18:00、外山さんが来店されます。
滞在中は、デザイナーとお客様とのコミュニケーションの一環として行われている『RAKUGAKI』を実際に店頭で行っていただきます。
通常はiPadを使って、お客様の裸眼の状態の写真にデジタルで眼鏡を描かれている外山さんが、店頭でチェキの上に即興で直描きされるのは今回が初めてとなります。
ぜひこの機会に外山さんにRAKUGAKIしてもらいながら、オープンな人柄でお話も上手な、デザイナーご自身の魅力に触れていただければ幸いです。

YUICHI TOYAMA09

blinc|ブリンク外苑前
〒107-0062 東京都港区南青山2-27-20 植村ビル 1F
南青山3丁目交差点から30メートル,東京メトロ銀座線 外苑前駅 1a 出口より徒歩2分

営業時間 : 12時 〜20時(土日祝日は11時 〜20時)
定休日 : 月曜日 (月曜日が祝日の場合は、営業。翌火曜日が休み)
Tel : 03-5775-7525

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