カトラー アンド グロスというブランドを知らない若い世代の方へ 後編

CUTLER AND GROSSPICK-UPSTANDARD

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前編ではグラハム・カトラーさんについてと60年代から70年代にかけての話に触れましたが、後編では相方のトニー・グロスさんと現デザイナーのマリー・ウィルキンソンさんについて、70年代から80年代にかけてお話させていただきます。

その前に前編をご覧になりたい方は、以下をクリックしてください。

カトラー アンド グロスというブランドを知らない若い世代の方へ 前編
 http://blinc.co.jp/blinc/journal/7307/

カトラー アンド グロスとは関係なく、ライバルブランドと一緒に作った眼鏡屋!?
トニー・グロスさんは、ヴィンテージの眼鏡やサングラスのコレクターです。家を訪れた人に聞いたのは、見渡す限り眼鏡やサングラスで覆われていたと言っていました。
そのグロスさんは、うちのショップで取り扱いのあるブランド、ローレンス ジェンキン スペクタル メーカーのローレンス・ジェンキンさんと昔からの大親友です。ローレンスさんは、1970年にお父さんのブランド、「アングロアメリカン アイウエア」というブランドのもとで、自身のアセテートフレームのコレクションを始めました。70年代初めは、イギリスの唯一の取り先がカトラー アンド グロスだったのです。その後、70年代には、アングロアメリカン アイウエアは、カトラー アンド グロス、オリバー ゴールドスミスとともに3ブランドが中心となり、イギリスの眼鏡のクラッシックなスタイルを築き上げました。そのグロスさんですが、1980年初めにはカトラー アンド グロスのショップとは関係なく、ローレンスさんとロンドンに二人の共同経営の眼鏡のショップをオープンしました。カトラー アンド グロスとアングロアメリカン アイウエアという本来ライバルである二人が共同経営の眼鏡屋さんなんて、なんと贅沢な店です。その当時に生まれていたら絶対にぜひ行ってみたかったです。実際、この80年代になってアイウエアという言葉が流行したと言われています。眼鏡が、人々に認識の中で道具的なものからファッションに変わっていた時期でした。みんなが、眼鏡をオシャレとして楽しむようになった時代でもありました。

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カトラー アンド グロスの現デザイナーのマリー・ウィルキンソン
そのグロスさんとローレンスさんの眼鏡屋のショップマネージャーとなったのは、カトラー アンド グロスの現デザイナーのマリー・ウィルキンソンだったのです。マリーさんは、女性ながらヴィンテージの眼鏡やサングラスの超コレクターの二人から育てられているので、ヴィンテージの眼鏡にはかなり精通しています。その後、そのショップを閉める際に、グロスさんがナイツブリッジにあるカトラー アンド グロスのショップで働かないかとマリーさんを誘ったのでした。それがきっかけで、マリーさんはカトラー アンド グロスで働くようになったのです。それから30年近くなりますが、今ではマリーさんがクリエイティブチームのリーダーとして指揮ををとり、年に2回の新作のコレクションを発表しています。

デザイナーの長い年月を経過しても通じるものに深く感動
話は変わりますが、マリーさんのデザイナーとして凄いなと思わせるエピソードがあります。マリーさんが、一昨年に数年ぶりに日本に来た時に、僕が掛けていた眼鏡を見るや、「ローレンス!?」とビックリして言いました。ローレンスさんが、アングロアメリカン アイウエアを去ったのが1996年、今から20年近く前のことです。その時、僕はローレンス ジェンキン スペクタル メーカーの眼鏡を着用していました。マリーさんは、「なんで、ローレンスの眼鏡があるの?」と僕の眼鏡を見て聞いてきました。マリーさんからすれば、まさか引退したローレンスさんが、ローレンス ジェンキン スペクタル メーカーとしてうちのショップの為だけに眼鏡のコレクションを作ってくれたとは知るはずもありません。眼鏡の「形」を見ただけで、誰がデザインしたかを言い当てたのには感動しました。その後、マリーさんは僕の眼鏡を手にとって、新作のはずの眼鏡を懐かしそうなものを見るかのようにじっと見ていました。
眼鏡を見て誰がデザインしたのか分かるなんて、眼鏡のデザイナー同士、長い年月を経過しても通じるものがあるのだなと深く感心しました。マリーさんには、ローレンスさんの描く美しいラインが垣間見えたのだと思います。

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上から
CUTLER AND GROSS | カトラー アンド グロス
PRODUCT NAME : 1046
COLOR:BDT
PRICE:42,120 yen (w/tax)

CUTLER AND GROSS | カトラー アンド グロス
PRODUCT NAME : 0932
COLOR:B
PRICE:42,120 yen (w/tax)

CUTLER AND GROSS | カトラー アンド グロス
PRODUCT NAME : 1236
COLOR:B
PRICE:39,960 yen (w/tax)

カトラー アンド グロスの魅力について
上の写真を見ると、パッと見ると同じような黒ブチ眼鏡に見えますが、よく見るとフレームそれぞれに、線の太さ、フレームの厚み、フロントの金具の有無などのデザインの個性があります。カトラー アンド グロスは、伝統を重んじるということがまず前提にあり、その枠組みの中で表現することの美しさを感じます。その美意識も、ブランドの垣根を越えて長い年月をかけて、その世代の人から次の世代の人へバトンタッチをするように受け継がれています。目には見えないですが、先人たちをリスペクトし、その思いが眼鏡のデザインに含まれている。
デザインだけの側面で見ると、多くのブランドでクラシックな眼鏡はたくさん作られています。
しかし、カトラー アンド グロスのデザインの背景には、長い歴史をかけて関わって来た様々な人たちのストーリーがあります。
それが、カトラー アンド グロスの魅力です。

店頭には、常時カトラー アンド グロスが数多く並んでいます。ぜひお気軽にお越しいただき、お手にとってご覧ください。

Text:  Toshiyuki Araoka

前編をご覧になりたい方は、以下をクリックしてください。

カトラー アンド グロスというブランドを知らない若い世代の方へ 前編
 http://blinc.co.jp/blinc/journal/7307/

 

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